『日本の妖怪カード』ができるまで その2

一番の問題は……「あんた、誰やねん」

そんなわけで、フルスロットルでスタートを切った『日本の妖怪カード』の企画なのですが……もちろんすんなりと企画が通ったわけではありません。

2021年現在、オラクルカードやそれに類するようなカードは多種多様で、個性的なモチーフのものも多数存在します。
ですが、私が『日本の妖怪カード』の企画書を書いていた2008年頃には、まだまだ「明るくて」「前向きな」メッセージを受け取ることができるオラクルカードが主流。「妖怪」という闇や影の部分に目を向けるようなモチーフのカードが受け入れてもらえるかどうか、全くの未知数だったのです。

私は、人間は誰でも明るく前向きなだけではなく、嫌な部分や自分でも制御困難な部分を抱えていて、それらをも上手く付き合っていく必要があると考え、『日本の妖怪カード』がその手助けをできるのでは?と思っていました。今でもその思いは変わっていません。
……ですが、2008年のオラクルカード界に一石を投じるには、圧倒的に足りないものがあったのです。それは〈私の知名度〉。実績、という言葉に置き換えても良いでしょう。
どこからどう見ても、この世に数多いるデザイナーの一人でしかないワタクシ。そこに「妖怪好き」なんていう奇妙なキーワードが付属したところで、誰が私の作るカードなど気に留めてくださるのでしょうか???

いや、この点も2021年である現在は、だいぶ状況が変わっていると思います。個人の方が自費出版で魅力的なカードをたくさん出版されていますし、その中から増刷を繰り返すヒット作になったものもたくさんあります。
ただ、2008年は、オラクルカードは出版社から発行されるものであり、ドリーン・バーチュー博士のような大人気の作者さまのカードが市場を占めていた、そんな時期だったのです。

そこで私は私なりに考えました。この私が発信することに説得力を持たせるためにどうしたら良いか?カードを手に取ってくださる方……それ以前に、出版社の方を納得させるためにはどうしたら良いか?
こうして「カードを出版する」より前に、私の孤独な戦いが始まったのです。

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